お茶のように すうっと心にしみて 明るい気分になるエッセイ
第3回 きらきらと「私」が輝き出す、煎茶の力
明けましておめでとうございます。昨年から始まったこの連載、みなさんお茶を片手に楽しんでいただけているでしょうか? 本年もCha-Cha-Cha!と、心軽やかになる日常の風景や思いを綴っていきますね! どうぞよろしくお願いいたします。
昨年後半から、地域ボランティア活動の一環として、近所のコミュニティカフェの一角で、ママがひと息つくための朝の会を開いています。子育てに家事に仕事に奔走するママたちが、ほんの少しでも「ほっ」とリラックスして、エネルギーチャージできる場にしたい!そんな気持ちでお店番をしています。「妻」であり「母」である日頃の役割を、朝の会にいるあいだはちょっと脇に置いて、一人の「私」として過ごしてもらえたら。
ただただおしゃべりしたり、私がレクチャーする呼吸法のミニ体験をしてみたり、小さな読書コーナーで一人静かに本をめくってみたり。5分でも10分でも自分のペースで朝を過ごし、再びそれぞれの日常に戻っていく。きっと、帰る時の表情は来た時よりもどこかぱっと明るくなっていることでしょう。ママの前にひとりの「私」。「こんな場所がほしかった!」という感想もいただけて、今年もゆるりとドアを開けていくことにします。
思えば、私は10代の学生の頃から「私って何者か」について悶々と考え続けていたように思います。友人と学校の教室の窓辺に座っては語り合い(青春!)、「やすこはもっと自分の意見を相手に伝えたほうがいいよ」なんてアドバイスされたことも。それほど、自分の感覚に自信が持てず、思いを表現することに難しさを感じていたんですね。
どんな場でも「あなたはどう思う?」と聞かれて咄嗟に答えられる人はすごい。ぼーっと話を聞いていたら無理です(笑)。自分軸を持って、思いを伝えられるようになりたいと常々思います。そのカギは、さまざまな局面で「私は今どういう気持ち?どういう感覚?」と自分に問いかけていくことに尽きるのかな、自分の中で対話するイメージで。そうして思いをアウトプットして表現していくこと、素直に伝えること。伝え方には工夫や配慮も必要だけれど、その人の内側から溢れてくるものは、きっと相手も上辺でないと感じ取るはず。力み過ぎず、緩み過ぎず、「ありのまま」にまっすぐ伝えることができたら、グッジョブです。
一方で、歳を重ねても、未経験の世界に足を踏み入れてみたり、「絶対ムリ」と抵抗してきたことにチャレンジしてみたりすると、長年信じ込んでいた「自分の限界」をひょいっと越える瞬間があります。「私ってこういう人だから」と決め込んでいては人生面白くない!と思いませんか? 習慣を変えたり、新しいファッションを試してみたり、アート表現に挑戦してみたりと、自分をアップデートする手段はさまざまです。その経験が「私」を進化させ、引き出しを増やし、輝かせてくれるのだと思います。いつまでも柔軟でありたいですね。
ここまで読んでいただいて、ピンと来た方もいるかもしれません。新しい習慣に取り入れてみてほしいのが「お茶」なんです。お茶は、自然の中で農家の方々が愛を持って育んだ茶葉を、茶師の方が葉の品質を見極め、非常に繊細な感性のもとで一定のおいしさに仕上げています。ひと言で表せば「おいしい」なのですが、その一滴、ひと口には、想像を超えた手間ひまがかかっているんですね。人は食べたものでできていると言われますが、大切に育まれたお茶を飲むことも、まわり回って自分を大切にすることに通じています。
お茶の中でも「煎茶」は、ただリラックスするだけでなく、お茶に含まれるカフェインとアミノ酸が同時に働きかけるので、頭が冴える心地いい状態に近づきやすいのだとか。思考がクリアになると、仕事のパフォーマンスも上がりそうですよね。
私が開いているママのための朝の会は、まさに煎茶のような存在になりたくて始めたもの。リラックスして、心身のバランスを調整して、活力に繋がるような。力まず、飾らない「私」のままで心地いいと感じ、きらきらとママたちが輝いていくような……。
煎茶の一番美しい色は、明るく黄色味を帯びていて、金色にも例えられるそう。縁起が良くて、新しい一年の始まりにもぴったりですね。新習慣にぜひ!
菅井やすこ1981年生まれ。衣食住、子育てなどのさまざまなジャンルの雑誌・WEB・イベントに編集者として15年以上携わる。その後、子育て層の心のケアに注力すべく、2022年に独立。2023年には大学に編入学し、心理学の研鑽の道へ。以降、芸術療法のひとつである表現アートセラピーや、ヨーガの伝統的呼吸法も習得しながら、内面を見つめる心身のケアを追求している。趣味はお菓子作り。一児の母。



