

お茶を片手に、いらっしゃいませ。
京都の地で160年続く茶問屋『宇治香園』。その宇治香園さんのサイトでこの度、お茶にまつわるエッセイを書かせていただくことになりました、編集者の菅井やすこと申します。「なんて光栄なこと!」と心からの喜びと、ちょっぴり恐れ多い気持ちを抱きながら、初回のご挨拶を書いています。宇治香園さんのほうじ番茶をお気に入りのカップに淹れて、お守りのように傍らに置きながら。
連載第一回ということで、まずは自己紹介から始めたいと思います。
私はこれまで、衣食住全般、暮らしから子育てまで、雑誌やWEBで編集者・ライターとして15年ほど出版業界に携わってきました。ときには出版物に関わるイベントのファシリテーターや、ゲストの方とのトーク、大人も子どもも参加するワークショップの進行役を担ったことも。お仕事をご一緒した各分野のプロフェッショナル、取材で出会った方々にも毎度刺激をいただき、編集という現場での化学反応に魅せられ続けてきたのです。
一方で、2020年に世はコロナ禍に突入し、私自身は出産を経験。予測不能な日々がもたらしたのは、積み重ねてきた仕事経験を振り返る機会に加え、母親・妻という社会的役割と「個人としての私」との狭間にジレンマを抱える時間でした。子育ての幸せな瞬間を享受しながらも、実は、どこか将来に不安や迷いを感じていた毎日(きっと同じように感じている人は多かったのではないでしょうか)。そこが契機となって、私は編集の仕事をしながら、心理を学ぶ道を歩むことを決意しました。心の学びについては、またどこかの回で詳しく書きますね。その後、2022年には40代で社会人大学生に。大学の授業では心理学の基礎を固めつつ、先人達の研究に触れ、学外では芸術表現を使った心理療法のひとつである表現アートセラピーのワークショップに参加する機会を得て、自身を深く掘り下げていく濃厚な2年間を過ごしました。家族の協力のおかげもあって、今年の春、無事に大学を卒業しましたが、学びは現在進行形。学びに終わりはなく、日々自分の心身と向き合って、「今ここ」の感覚を確認するような作業を続けています。
これらの学びを少しずつでも、文章にまとめたり、実際にお会いしたりする場を持つことで、心の健やかさを求めている方々にお伝えしていきたい!と活動を続けています。
つまり、私について簡潔に説明するなら「健やかな心を探求し続けている一児の母・編集者」といったところでしょうか!
さて、そんな私が宇治香園さんと出会ったのは2020年頃。夫に楽曲制作を依頼してくださった代表の小嶋さんご家族との交流が始まり、それからというもの、ありがたいことに毎年素晴らしいお茶とお便りを届けていただいています。お茶の便りで季節を実感するというのも、日本ならではなのかなと思います。
おいしいものを食べ・飲むこと、お菓子作りが大好きな私。思い返せば、お茶との思い出は小さな頃からありました。実家は日常的に食後に緑茶を飲む家庭で、茶葉の品種にこだわるというほどではなかったのですが、お茶が出てくるとなんだかほっとした気持ちになったものです。宇治香園さんの日本茶のおいしさを知った私は、今一度、お茶を日常に寄り添う心身を整えてくれるものとして、見つめていきたいなと思っています。
心を学び、軽やかに生きる方法を探求する私が、暮らしの中に『宇治香園』のお茶を取り入れたことで見えてきた変化や気づき、お茶から広がる小話などを綴っていきます。みなさんが、お茶を片手にリラックスして読んでいただけそうなリズムとフロウで。ときには、「これってお茶の話なの?」という回もあるかもしれませんが(笑)、きっと、読み終えたらお茶が飲みたくなる。と、いいな!
ぜひ、お気に入りのカップを片手に、この一杯のお茶のような読み物の場にいらしてください。おいしさはもちろん、自分のためや誰かのためにお茶を淹れる行為や時間そのものの愛おしさ、透明感のある色や味わい、温度から広がる感覚を楽しむことなど、一滴のお茶から広がる、さまざまな暮らしの断片を、掬い取ってここに記していきます。
「Cha-Cha-Cha!」と軽やかなリズムが心と体に流れてくるような時間を、このエッセイを読んでいただくことで共有していけたら嬉しい限りです。
また次回をお楽しみに。

1981年生まれ。衣食住、子育てなどのさまざまなジャンルの雑誌・WEB・イベントに編集者として15年以上携わる。その後、子育て層の心のケアに注力すべく、2022年に独立。2023年には大学に編入学し、心理学の研鑽の道へ。以降、芸術療法のひとつである表現アートセラピーや、ヨーガの伝統的呼吸法も習得しながら、内面を見つめる心身のケアを追求している。趣味はお菓子作り。一児の母。