気分はCha-Cha-Cha! (Cha Cha Cha Mood)

お茶のように すうっと心にしみて 明るい気分になるエッセイ

第4回 下を向いて歩こう、上を向いて笑おう

冬になると、「うぅ寒い!」と俯きがちに歩くことが増えますね。延々とコンクリートの道を見つめるよりは、枯れ葉の燻んだ色の重なりを追いかけてみたり、木の根がどこまで繋がっているか想像してみたりして、少しでも気温の低さを紛らわせています。

息子と一緒に歩く時は、目線を子どもと同じ高さに合わせるタイミングが増えるので、見える世界もぐっと地面に近づきます。土や砂の解像度が上がって、今では公園の砂場で貝殻を見つけるのも上手くなりました(笑)。

葉に霜が降りた朝は、氷の結晶を観察して触れて、雪が降った日には足跡や手の跡をつけてはしゃいで。ぴりりとした空気に鼻を赤くしながら、吐く息の白さを競ったりもして(これは下を向いていなかった!)。あ、でも、周囲には気をつけてくださいね! 向こうから歩いてくる人とぶつからないように。

というわけで、下を向いて歩いている人が、みんな落ち込んでいるかというとそうでもなさそうです。我が家のように、足元に何か面白いものを見つけている、自分だけの世界をお楽しみ中、なのかもしれません。

逆に、この季節、上を向いてみてはどうでしょう。すっかり大人ではありますが、雪が降りそうなしんとした街の雰囲気と、薄くグレーがかった空はどこから雪が舞い降りてくるか、小さく期待している自分がいます。

数年前に雪の結晶についての本を手に入れてから、ページを眺める度に、そして本当に雪が降る度に、こんなに芸術的な結晶を自然が作り出しているなんて〜と懲りずに感動しています。黒い服を着ている日なんてポツッと雪がくっついてくれたなら、まじまじと目を凝らして幼児と観察してしまう44歳です。

葉の落ちた木々の枝の行先を追いかけたり、全体のシルエットを観察したりするのも好きです。はだかんぼになった木が、内側に春までのエネルギーを蓄えていると想像すると、並々ならぬ生命力を感じずにはいられません。

2月にはもう、枝先に小さな芽があったりして、「君もがんばっているね〜」なんて目を細めてしまうことも。

昼間だけではありません。空気が澄んだ冬の夜空は、いつにも増して星が明るく見えませんか? 南の空に輝くオリオン座を含む、冬の大三角形。私は自宅のベランダから眺めては、冬の空の美しさにしばし見惚れてしまいます。お風呂上がりのパジャマにアウターを着込んでまで眺めることも(笑)。

子どもが寝た後の静かな時間の、ちょっとした贅沢な時間です。いつだったか、同じようにベランダに出てみたら、顔を上げた方向に大きな流れ星がひとつ、きれいな曲線を描きながら横切ったことがあり、なんともご褒美のような夜でした。

……時々、小さなことでも落ち込んでしまう時ってありますよね。人生には数回、本気のがんばり時があると思っています。その谷(もしくは岩山)にいる時、とっても苦しいのですがふと、「空がきれいだな」「鳥がなめらかに飛んでるな」「壁に差す光がきれい」と気がつくことができる自分がいるのです。

わかりにくいかもしれないですが、どこか、現実を離れて今をただ景色のように見つめる自分が瞬間的に出てくるような。

この感じ、実はみんな持っているのではないかなと思います。簡単に言えば、日常に小さな幸せをどれだけ見つけられるかというところ。雑踏の中に一瞬のオアシスを見つけるように。家事に追われるなかで、ちょうど淹れ立てのお茶に茶柱を見つける瞬間のように。

時間に追われがちな時代ではあるけれど、下を向いても、上を向いても、きっと小さな幸せが転がっているはず。寒い冬だからこそ、ぽっと心があたたかくなる自分だけの瞬間を見つけてみてくださいね。

菅井やすこ
1981年生まれ。衣食住、子育てなどのさまざまなジャンルの雑誌・WEB・イベントに編集者として15年以上携わる。その後、子育て層の心のケアに注力すべく、2022年に独立。2023年には大学に編入学し、心理学の研鑽の道へ。以降、芸術療法のひとつである表現アートセラピーや、ヨーガの伝統的呼吸法も習得しながら、内面を見つめる心身のケアを追求している。趣味はお菓子作り。一児の母。





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